投資信託コスト引き下げ合戦の先にあるもの

のりぞーです

インデックス投資信託のコスト引き下げ合戦が止まりません。

1月末にはeMAXIS Slim先進国株式が驚異の0.1095%となり、他者ファンドの最低水準0.19%を大きく下回ります。

この信託報酬はバンガードのETF(VTI 0.04%+VEA 0.07%)に比べても、購入の手間を考えれば遜色ないコストと言えるでしょう。投資家にとってみればこんな嬉しいことはないのですが、これは本当に健全な姿なのでしょうか。

販売会社、委託会社、受託会社それぞれの取り分は0.03-0.04%程度。販売会社が例え100億売ったとしても年間の収入は300万〜400万。コストが全く見合いません。100億売っても社員一人の年収も払えません。

米国のバンガード商品の経費率は非常に安いですが、規模が違います。上記例であげたVTI、VEAの総資産額はそれぞれ97億ドル、74億ドル(2018/1/19現在)。日本円換算で1兆円の資産があるので、この経費率でも十分な収益をあげることができます。それに比べて日本の低コストインデックスファンドはどうでしょうか。100億円の純資産額がある投資信託の方が珍しく、数億〜数十億が一般的。これでは単品別損益はほぼ利益が出ていない商品が多数を占めているのではないでしょうか。

このコストで利益を出すためには顧客を集めるしかない。投資家は少しでも安い商品を選択する。そうすると信託報酬を下げざるを得ない。下げたら利益がさらに低くなる。まさに負のスパイラル。

この行き着く先に何があるのでしょう。そう、淘汰です。安いからと言ってすぐ飛びついて、繰り上げ償還の憂き目にあうという最悪の事態は避けなければいけません。そういう意味ではまず純資産額の低い商品は買わない、開発されたばかりの商品は買わないなど自己防衛が必要になってくるでしょう。

逆に提供側はいつかコストの下限がくることは明白なので、コスト以外の魅力ある商品づくりだったりブランド力向上、販売会社は魅力あるサービス提供などが必須となってくるでしょう。

例えば楽天バンガードシリーズ。確かに現時点では他社の商品に比べてコストは高い設定になっています。コストを下げた方が良いという意見も色々なブロガーさんからも聴こえます。でものりぞーは全く下げる必要はないと思います。「あのVTが投資信託で買える!」という付加価値が大きいのです。(ただし全く知られていないですし、苦戦もしているのでプロモーションはした方がいいと思います。)

販売会社側で言えばポイント付与や有料サービスを無料で使える、証券会社に留まらず、グループ会社のサービスが受けれる、FPとライフプランの相談が年1回受けれる、無料セミナーをドンドン開催する、他社と提携してクーポンもらえるとか、生活必需品と交換できるとか、宿泊券プレゼント、体験クーポンなどなど嬉しい特典などを充実させ顧客の囲い込みをさせることが重要になってくると思います。香港のオフショアみたいに一回の購入金額が多い場合は販売会社が購入金額の数%上乗せしてくれるなんてサービスもいいかも知れません(法律的にできるかどうかわかりませんが)。

単なるコストカットは正直何も生み出しません。その場、その瞬間の瞬間最大風速は吹くかも知れませんが、最終的に自分のためにも顧客のためにもなりません。それは他の業界が物語っています。メーカーはいいものを作れば売れるという時代はもう終わりました。モノ売りからコト売り(サービス)へシフトしています。

投資信託業界も同じです。日本の人口は減っていきます。否が応でも絶対的なパイは少なくなります。いかに顧客が求める付加価値を捉え、そのサービス提供をしていくか。それができないファンドは淘汰されて行ってしまう時代が来るのかも知れません。

のりぞー

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